2018年8月31日金曜日

The 11th WBCに参加をして~竹愛編~

メキシコで開催された世界竹会議の参加者と話していて
参加をしている人の約40%程度が竹を材料として着目する建築・木工・芸術関係者なのだなという感覚を得ました。

参加者に対してしっかりと聞き取りを行ったわけではないのだけれども、実際に発表でも半数は建築関連というぐらいだし材料としての竹に着目をしている人が沢山いるというのは間違いないようです。

竹で作ったデザイナーハンガーを紹介するインドの参加者


それから開催地がメキシコだったので、中南米や南米からの参加者も多く、彼らは造園関係や竹を植える活動家も多いという印象でした。

中南米の竹苗とその竹材で作られた家具

参加者はやはり竹が生えている温帯~熱帯域の国の方が多いのですが、材として着目する参加者層は基本的に一国に集中しているわけではなく、かなりランダムだったように感じます。元来、竹の生えていない地域であるヨーロッパから参加されている芸術家や建築家が竹に着目をしているのも面白いところです。

イタリア人芸術家による竹ドーム



一方で、途上国で竹を植える活動に関わっている参加者は建築用材に拘らない多面的な資源(日用品、薪炭材、農業用資材、飼料、食料・・・)として竹に着目をしている方がメジャーでした。この利用の仕方はかつての日本の里山における竹と近いものを感じます。

それでも、かつての日本では世帯ごとに家の近くに小規模な竹林を保持していてそれを地縁血縁関係者で管理をし地産地消的な利用を営むことがメジャーだったのに対し、現在の東南アジアや南米における竹林経営は集落単位であったり、地域レベルの共有竹林で行われているところも多いようです。
これは、地域の人々が一丸となって生活をしなければ資源を効率良く得にくいということも考えられるのかもしれません。

日本の里山の土地利用は、集落地域を中心に同心円状を描くように頻繁に利用する自然資源(竹林もここに含まれる)が小規模なモザイク状に散在をし、その更に外側に薪炭材や用材を得るための林が造られているという景観が一般的でした。
一方で、中南米・南米では竹林を陰樹であるコーヒー農園のための日陰として利用をしているという景観もあるそうです。これは日本とは全く異なる景観と土地利用です。

竹の苗畑の様子 株立ちなので日本の竹林と印象が違う


もちろん竹の種類も異なりますが、地域が変われば土地利用も多様で新たな竹林景観と利用を垣間見ることが出来て、竹を通じて世界の広さを実感することが出来ました。


世界竹会議に参加をしている人々の話や発表を聞いていて思うことは
みんな竹が大好きなんだなぁ~!ということ。
もちろん私にとってもno bamboo no lifeですが・・・


もちろん、私も竹が好きで竹に興味があるから竹会議に参加をしているわけですが
普段、日本で「里山に侵入する嫌われ者の竹」という側面もよく見ているだけに参加者の竹に対する愛に少し困惑するような感情も抱いてしまいました。

なんていうか、参加者の多くが恋に恋しているようなノリで竹への愛を謳っているように感じてしまったんですね。

恋に恋して盲目的になることが出来ているときって幸せで気持ちい・・・そうなんだけれど、きっと持続的に好きでいるためには相手のことを理解する必要がもっとあると思うのです。

ちゃんと竹に向き合うためにはポジティブな面もネガティブな面も理解してあげてほしいな・・・と。

そうじゃなければ、人によって植えられた無垢な竹資源ちゃんも、いつの日がポイって放置されてうっかり土地利用の異なる土地に地下茎で侵入してしまったばっかりに、邪魔者目と罵られる暗い未来だってあると思うのです。

竹と寄り添っていたいね~

竹も生き物なのだから、材や筍を利用するときだけじゃなくて植えたり継続的に使うのなら竹との生活は続いていくわけですよね。だから、病める時も、貧しい時も、拡大した時も、一斉開花したときも竹を愛せるように・・・もっと竹そのものを理解する必要があるよなーと強く実感。


そんなわけで、次回の世界竹会議(2020台湾)には竹の生態学者も大勢参加することが出来るように、今からネットワーキングも自分の研究も頑張っていきたいと思います。

バンブーアンバサダーの皆さん


今回の参加者はアジア勢の特に日本・中国・韓国が少なかったのですが、かつて里山地域で竹とともに生活を営み、経済発展に伴って国民の生活が変わり、山村地域の過疎化と高齢化から竹林管理に手が回らなくなり・・・という経験をしてきた我々が世界に発信すべきことはまだまだあるはずです。



おこがましくも提言をしてしまいましたが、そもそも竹好きさんに悪い人はいないと思いたいなぁ(笑)
そんな大勢の竹好きさん出会うことが出来た世界竹会議はとても楽しい時間でした!


前回2015年WBC韓国大会で知り合ったウルグアイの友達とポスターが隣でした♡
ハッシュタグにbamboo friendsがついてる!







The 11th WBCに参加をして~上田賞編~

2018年8月14日から18日までメキシコのベラクルス州ハラパで開催された
WBCに参加をしてきました!

会場の様子

WBCはWorld Bamboo Congressつまり世界竹会議の略です。

参加者は50か国を超える国々から400名強の竹に関わる研究者・建築家・活動家・造園家・・・等々バラエティに富んだ方々でした。

スケジュールは、14日~17日までは基調講演と一般発表(口頭やポスター)が中心でその合間に上田賞と呼ばれる竹に関してインパクトのある活動をした人へ送られる賞の授賞式や、尺八の演奏、竹に関する動画の授賞式等が開催されていました。

アメリカ人尺八奏者による演奏


その中でも、日本人なら気になる名前の上田賞・・・
元祖竹の研究者であり、竹の父と呼ばれる上田弘一郎先生の名前をからつけられた賞です。

ちなみに上田弘一郎先生は、私の現在の指導教官である柴田先生の指導教官でした。
京大の大学院入学式の式辞でも、「竹と言えば上田弘一郎!」と入学生に激励されたことがあります。

世界的な賞の名前に、我らが日本人の名前がつけられていること・・・誇らしく感じます。

上田先生、柴田先生・・・と引き継がれてきた竹研究の道を今後も継承していきたいです。


今回の上田賞はコロンビアのヒメナさんという方が受賞されました。
彼女はコロンビアのコーヒー農園に生まれ、農学博士を取得
1998年からThe Colombian Bamboo Societyという協会を設立し、コロンビアの竹植栽の支援・官民の連携・研究開発の促進をし、更には国際的な竹研究や竹に関する活動の場へコロンビア代表として出向き、国内外の竹文化の活性に取り組んできました。
Ximena Londoño y su colección de bambúes más grande de Colombia
ヒメナさんとグアドゥアという南米に生育する竹
http://www.cronicadelquindio.com/noticia-completa-titulo-ximena_londoo_y_su_coleccin_de_bambes_ms_grande_de_colombia-seccion-la_salida-nota-83530

現在、彼女はA Bamboo and Guadua Paradiseという竹林公園の経営者として公園の名前の通り、竹のパラダイスにて生活をしております。

基調講演では、日本の京都の竹林を見学へ行った話もしてくださりました。
自己紹介では家族の美しい写真も紹介もしてくださり、きっとヒメナさんも若いころは美しいお方だったのだろうなぁ~と中南米のかぐや姫を見たような気がしました。

ヒメナさんの両親の若き日

ヒメナさんのように、竹に関して熱い活動をしている人がこの地球上にいる!と実感できるものWBCも魅力です。

また次回もWBCの魅力と感想を報告していきます。

(ささはら)




竹サロンのHPを作成しました。今後はHPより情報を発信致します

皆さま平素よりお世話になっております。竹サロン運営です。 この度、竹サロンはHPを構えることになりましたので、改めて報告致します。URLは以下になります。 https://take-bamboo.com/ 今後は竹サロンの実施情報や振り返りなどは、こちらのHPより発信致します。な...