2019年2月28日木曜日

第9回竹研究会の記録

第9回竹サロンを実施したのでその様子を報告します。

実施日時:2019年2月28日(木)17時~20時
開催場所:京都大学 農学部総合館 1階 S174教室
参加者:笹原(京大D)、小林(慧)(京大D)、峰尾(京大D)、孫(京大D)、正田(京大D)、張(京大D)、上森(大阪府立農林水産総合研究所)、山森(ギガ プランニング)、渡邊(竹文化振興協会)、小関(藪の傍)、石田(石田ファーム) 計11名 *敬称略・順不同




孫鵬程「中国江蘇省の竹事情」
(京都大学大学院農学研究科森林科学専攻 博士課程)

孫さんの調査地である、江蘇省におけるモウソウチク(毛竹)林の竹事情を紹介していただいた。出稼ぎ地域だそうで、間伐作業等の労働力は平均で55歳ほどだそう。
現地の写真も織り交ぜてくださったため、とても親しみやすい発表でした。山ごと竹林の写真、六本の稈を一気に林外へ持ち出す写真は圧巻でした。今後、取りまとめをなさったら改めて紹介していただければと思います。


上森真広「竹の生態と竹駆除マニュアルのご紹介」
(大阪府立農林水産総合研究所

「広がる竹林をどうしよう?という時に 放置竹林の把握と効率的な駆除技術」のマニュアル本を作成に関わっていた上森さんに解説していただいた。
プロジェクトの内容は、大きく4つに分けられ、分布把握、伐採試験、除草剤、コスト試算である。今回は、このうち分布把握と伐採試験を解説していただいた。印象的だった話は、大阪府泉佐野におけるモウソウチク伐採試験地では、伐採後にこれまた逸出種のアオモジが増えた、ということである。
マニュアルは以下のURLをご覧ください。http://www.kannousuiken-osaka.or.jp/nourin/info/doc/2018030800024/


小関皆乎「竹の活動紹介」
(任意団体 藪の傍 代表)

2017年1月に設立し、間伐竹の活用に取り組まれている「藪の傍」の活動紹介をしていただいた。とにかく巻き込む力と活動力がすごい。私たち若者は到底かなわないような気がしました。今年はどんなものが生まれるのでしょうか? 楽しみですね。来年度は、新しい取り組みとして、筍農家さんの一年を体験するということを行うそうです。本場京都で新しい筍栽培モデルを作ることにつながればいいなと感じました。


笹原千佳「インド竹歩き」
(京都大学大学院地球環境学舎 博士課程)

昨年末に行ったというインド・アッサム地方の簡易調査の話をしていただいた。Bambusa属の植栽が多かったそうで、植栽は挿木の形が多いようだ。多様な竹籠を始め、竹が生活に密接に関わっているかがわかりました。今後、笹原さんならではの視点で調査されることを期待したいです。


************
第9回研究会を終えて。

今回は中国・インドという海外の話題と国内で駆除・利活用に取り組む話題と多岐にわたり、盛りだくさんとなりました。
今回、発表してくださった皆さんは今後も随時発表してくださるそうです。心強いです。
徐々にですが、外からも人が来てくださるようになっており今後の展開も少し楽しみです。学内にいる者だけでは生まれないような議論もあり、大事な場だと思いました。
今後もよろしくお願いいたします。


(文責:小林慧人)

2019年2月21日木曜日

第8回竹研究会の記録

第8回竹サロンを実施したのでその様子を報告します。

開催日時:2019年2月19日(月)15:00‐19:00
開催場所:東京大学弥生キャンパス 農学部1号館2階林学会議室

参加者:小林(幹)(宇都宮大名誉教授)、広田(岐阜大)、小林(慧)(京大D1)、相原(筑波大M2)、金道(東大M2) 計5名


話題提供

タケ亜科の形態、生活史の進化
小林幹夫(宇都宮大学名誉教授、小林竹類研究房)

今回は小林幹夫先生をお招きし、大きく4つの話をしていただいた。(1)タケ類の外部形態、(2)イネ科の系統類縁、(3)多様な世界のタケ類と生活史戦略、(4)一斉開花枯死・個体群回復過程、である。これまで長年のフィールドワークを通して観察されてこられた世界各地のタケ類の標本や写真を織り交ぜながら、タケ類のもつ様々な顔が紹介された。先生だけが持っているであろう写真も複数あり、これほどに多様な形態や生活型があるのかと、思わずため息がでてしまうほどだった。時間中に質疑も適宜設けることができ、限りある時間の中で実りあるセミナーとなった。国内にいては感じられないであろう、タケ類の世界の多様な面を改めて実感し、刺激をいただく会になった。



************
第8回研究会を終えて。。

漠然としたタイトルで発表をお願いしてしまったことを反省していたのですが、4時間弱もの長丁場にわたり、最初から最後まで丁寧に説明してくださったことに感謝したいと思います。
帰り際、先生は「不立文字」が大事だと仰っていました。確かに、ご本人に直接会って話をするという体験から得られることは、本や論文や図鑑を読んだり・眺めたりすることよりもはるかに多い気がしています。今後の研究会/サロンにおいても、聞きたい方の話をじっくり聞かせていただく、というスタンスを作っていきたいと思います。


最後になりますが、小林先生が執筆されており今回紹介してくだった本や雑誌(上の写真)を以下にメモしておきます。
・原色植物分類図鑑 日本のタケ亜科植物、北隆館(2017年)
http://hokuryukan-ns.co.jp/cms/books/58/ 
・イネ タケ マコモ 植物の世界121、朝日新聞社 (1996年)
・小林幹夫「竹の旅」(最終講義の様子や業績がまとまった冊子)
・ササ類の形態分類に関する論文3報、植物学雑誌 

(文責:小林慧人)

2019年2月20日水曜日

第9回竹サロン開催のお知らせ

第9回竹サロンを実施いたします。どうぞお気軽に御参加ください。

実施日時:2019年2月28日(木)17時~19時
開催場所:京都大学 農学部総合館 1階 S174教室


話題提供

上森真広「竹の生態と竹駆除マニュアルのご紹介」
(京都大学大学院農学研究科森林科学専攻 博士課程)


小関皆乎「竹の活動紹介」
(任意団体 藪の傍 代表)

報告

孫鵬程「中国江蘇省の竹事情」
(京都大学大学院農学研究科森林科学専攻 博士課程)


笹原千佳「インド竹歩き」
(京都大学大学院地球環境学舎 博士課程)

竹討論会

参加者の皆さんと竹に関するディスカッションを行います。

19:15~ 竹懇親会(くれしま予定)


疑問・質問は笹原まで sasahara.chika.27s@st.kyoto-uc.ac.jp
当日、発表を希望される方は前日までに連絡をお願いします。
連絡なしでの当日参加歓迎です。
よろしくおねがいします。



2019年2月6日水曜日

第8回竹サロン開催のお知らせ


回竹研究会/竹サロンを実施いたします。どうぞお気軽に御参加ください。

実施日時:2019219日(火)15時~18
開催場所:東京大学弥生キャンパス 農学部1号館2階林学会議室


話題提供

タケ亜科の形態、生活史の進化
小林幹夫(宇都宮大学名誉教授、小林竹類研究房)


報告(時間によっては取りやめます)

ハチクの生活史
小林慧人(京大 森林生態D1


今回は小林幹夫先生によるゼミ形式の研究会にしようと思っています。タケの世界についてじっくり勉強し議論できる場になればと思っております。
PPT
とレジュメを用いて発表をしていただきます。
「報告」は時間がなかったら無しにする予定でおります。


18
15~ 懇親会
(時間や場所は人数によって検討します。)

質問は金道kindo(@) uf.a.u-tokyo.ac.jpか小林keito.kobayashi3(@)gmail.com
まで。連絡なしでの当日参加歓迎です。

第7回竹サロンの記録

第7回竹サロンを実施したのでその様子を報告します。

開催日時:2019年1月28日(月)17:00‐19:30
開催場所:京都大学 農学部総合館 S128教室

参加者:笹原(学舎・景観D1)、小林(慧)(農・地環・生態D1)、峰尾(農・森林D3)、田住(防災研・M2)、広田(岐阜大)、三橋(竹の國)、上森(大阪府立環境農林水産総合研究所・研究員)、河合(どんぐりネットーワーク)、渡邊(竹文化振興協会・専門員)、島田(有限会社紋珠・高槻バイオマス粉炭研究所)、杉山(野草料理を伝える会京都) 計12名



話題提供

淀川水系木津川における竹を用いた川づくりの取り組み」田住真史(京大 防災研 M2)

京都府南部を流れる一級河川の木津川における、河岸の竹を用いた川づくりの取り組みについて紹介していただいた。プロジェクトの背景として、(1)木津川の現在の土砂環境の課題と(2)かつて水防林として機能した竹林が放置されている課題があり、それらの解決策として、竹蛇籠や聖牛といった伝統的工法を用いた、2015年からの一連の取り組みが紹介された。過去に木津川で竹蛇籠や聖牛が使われていたという貴重な資料も数点報告されており、関係者の私も初めてみる古資料にワクワクさせてもらった。今後のプロジェクトの展開が楽しみ。修論が出来上がっていないという忙しい中、発表に来てくれてありがとうございました。



2ラオス北部の焼畑農業が作り出す環境とタケ利用」広田勲(岐阜大) 

ラオス北部におけるタケと人との関わりについて紹介していただいた。焼畑地における長年のフィールドワークから、当地における焼畑文化は竹の存在によって形作られてきた(竹こそに支えられてきた)可能性について言及されており、今後の現地調査を通して検証したいという話が印象的でした。ラオスにおいては、今後タケの学名の整理が必要であることや、興味深い開花特性をもつタケもいることを知り、ラオスのタケ研究の今後が楽しみです。いつか行ってみたいな。



竹アート活動紹介」三橋玄(竹の國)

竹アーティストである三橋さんに、製作品について紹介していただいた。昨年12月に京都府長岡京駅前の空間に飾られていたアートを始め、三橋さんならではの哲学をもって竹アートに臨まれていることが垣間見られた気がします。素人ながら、ダイナミックでかっこいい作品が多いという印象を持ちました。最近は茶道の方面にもご活動を展開されているということで、今後が楽しみと感じました。各地域の竹研究者や活動する人団体をつないでいきたいということで、私たちとも何かコラボできればいいですね。




報告

1「1世紀にわたるマダケ林分調査の結果:淀川水系木津川の事例」小林慧人(京大 森林生態D1)

マダケ林における過去1世紀を超える林分調査の長期データを紹介しました。竹研究を行うには、こんな長期的な視点を持つことが大事だという思いで発表させていただきました。この点は伝わったのかなと思います。半世紀前に調査に入っておられた渡邊先生も議論に加わってくださり、議論が白熱し時間を大きくオーバーしてしまいました。。有難いコメントを多数いただき、私個人的にはつかの間の感慨深い時間を過ごせました。じきに世に出そうと思います。




****

今年初の竹サロン。今年も行われます。
外部からの方も多く、学術機関以外の方も複数おられ、いい感じでした。S原さんの人集めのうまさのおかげでした。
20時頃からは京大農学部付近にあるくれしまで懇親会も実施し、最後まで竹トークに花が咲きました。

(文責:小林)

竹サロンのHPを作成しました。今後はHPより情報を発信致します

皆さま平素よりお世話になっております。竹サロン運営です。 この度、竹サロンはHPを構えることになりましたので、改めて報告致します。URLは以下になります。 https://take-bamboo.com/ 今後は竹サロンの実施情報や振り返りなどは、こちらのHPより発信致します。な...